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2.岐阜県の「ういろう」 


 (1)地域差

 岐阜県内において「ういろう」店がみられるのは、西美濃・岐阜地域に限られています。東美濃には「ういろう」に似た「からすみ」が人気で、「ういろう」はまったくみられません。飛騨は、どうも餅菓子があまり人気ではなく、干菓子が多いのような印象を持ちました。

 西美濃の「ういろう」も、尾張の「ういろう」と同様、竿もの[A1]と三角ういろ[B2]がみられます。

長良ういろ、竿もの・米粉  駅前金蝶堂 三角・米粉


 尾張に近い岐阜地域は竿もの[A1]、近江に近い西美濃は三角ういろ[B2]が主流です。2種類の「ういろう」が位相差により棲み分けしていた尾張と異なり、美濃では地域により棲み分けしているわけですね。岐阜の長良ういろは、尾張ういろと似ています。

 それに対し、西美濃の三角ういろは尾張の三角ういろと異なっています。海津(南濃)・藤屋は「ういろう」の製造が既に中止、養老・北村商店は未調査であるので、ここでは、大垣・駅前金蝶堂谷汲・三桝屋の三角ういろの紹介をしていくことにします。


 (2)西美濃の三角ういろ

 いずれも大正期の創業。両者の三角ういろもよく似ていて、ともに伝統的な西美濃の「ういろう」を現在に伝承しているものと思われます。

 まずは、包装紙。三枡屋は現在も竹皮、駅前金蝶堂は竹皮を模した包装紙。三角ういろを対にした正方形が積み上げれれて包装してあり、そこに店名の入ったレトロな包装紙をペタリと載せて完了。谷汲山の参道にある三枡屋では、行列ができるほどの人気。この地域での三角ういろの根強い人気が伺われます。


 尾張の三角ういろとの違いは、黒・白赤の三色があり、とてもカラフルであること。全国の「ういろう」店の中でも、三色セットの三角ういろが製造販売されているのは、この西美濃だけのようです。


 そして食感。尾張の「ういろう」はどの種類ももちっとしていて粘りが強いのが特徴。西美濃の三角ういろは、キメが細かくてヌルっとしたような、プルンプルンとしたような食感。水分がやや多いからではないかと思います。

 尾張と西美濃の三角ういろを比較すると、表のようになります。

  西美濃 尾張
 内容量 75〜90g 75〜225g
 平均内容量 82g  135g 
 平均価格 60円 94円
 平均100g単価 69円  86円

 サンプル数が少ないのですが、西美濃の老舗2軒の三角ういろは、尾張よりさらにお値打ちですね。





 「ういろうEXPO」お勧め美濃ういろう

 お勧めは、上記で紹介した大垣・駅前金蝶堂谷汲・三桝屋の三角ういろ。前者は大垣駅の真ん前前と交通の便がいいのですが、後者は岐阜や大垣から20q強、車でないと行くことは困難です。

 しかし、谷汲山・華厳寺の参道を歩きつつ、三桝屋の前にできた長い行列に並びつつ、出来上がりの生ういろを待つのも、他ではできない経験。「ういろう」を買うのに行列のできるお店は、他に見たことがないですからね。途中で売り切れてしまうなんてこともあって、こちらもスリリングかと・・・。

 懐かしい雰囲気の三角ういろ。こちらも是非、ご賞味くださいませ。もう一度貼り付けておきます。今度は、拡大版(クリックすると拡大します)。
 

2013/09/10
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