1.1 辞書的な意味
「ういろう(外郎餅)」は、辞書では概ね、次のように定義されています。
「米の粉に黒砂糖を加え、蒸して作る菓子の名」 (『古語大辞典』小学館)
「米の粉と黒砂糖を使用した蒸ようかんの一種」 (『日本語大辞典』小学館)
「米の粉に砂糖と香料とを加え、蒸して四角に切った餅」 (『江戸時代語辞典』角川学芸出版)
「菓子の名。米の粉を黄などに染め、四角に切ったもの」 (『広辞苑』岩波書店)
これより、「ういろう」とは、「米の粉に砂糖を加え蒸して作った、四角に切った菓子」ということになります。
1.2 分類
それでは次に、「ういろう」は、多くの菓子の中で分類上、どのような位置にあるのかを見てみましょう。
1.2.1 歴史的にみた分類
菓子を歴史的に分類すると、江戸期以前に伝統的製法で作られてきた「和菓子」と明治期以降に欧米から製法が伝わった「洋菓子」に大別することができます。後者には、ケーキ・シュークリーム・タルトにワッフル、チョコレートにクッキーなどが挙げられます。
1.2.2 保存性からみた分類
和菓子はさらに、水分の含有量により3つに分類されています。
(1)生菓子 …… 水分を30%以上含むもの(ういろう、おはぎ、大福餅、桜餅など)。
(2)半生菓子 … 水分が10%〜30%のもの(もなか、甘納豆など)。
(3)干菓子 …… 水分が10%以下のもの(落雁、おこし、あられ、せんべいなど)。
1.2.3 製法からみた分類
生菓子はさらに、製法から次のように分類されています。
(1)餅もの …… もち米・うるち米、およびその加工品から製造されたもの。
(すあま、羽二重餅、大福餅、おはぎなど)
(2)蒸しもの … 成形し、蒸し上げたもの(ういろう、ゆべし、かるかんなど)。
(3)焼きもの … 焼き上げたもの(きんつば、まんじゅう、カステラなど)。
(4)流しもの … 型に流して成形したもの(ようかん)。
(5)練りもの … 練り上げて成形したもの(ぎゅうひ)。
(6)揚げもの … 油で揚げたもの(あんドーナツ)。
これより、ういろうは分類上、以下のような位置にあることがわかります。
菓子 > 和菓子 > 生菓子 > 蒸しもの > ういろう
1.2.4 よく似た和菓子との相違点
「ういろう」によく似た和菓子に「羊羹」や「すあま」がみられます。これらの相違点を見ておきましょう。
「ういろう」が材料(上新粉・砂糖・水)を型に流し蒸したものであるのに対し、「すあま」は材料を蒸した後に軽く搗いたもの、「羊羹」は材料に寒天液を加えて固めたものとされています。つまり、上記(2-3)にあるように、製法が異なる菓子ということになります。
〈参考文献・ウェブ〉 早川幸男(1997)『菓子入門』(日本食糧新聞社)
村井製菓 「和菓子の分類」
|
|